Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
「一体、どうしたんじゃね?」
勝則は、えたいが知れなくなって、そんなとんちんかんな問い方をした。
「御記憶がないの?」
「なんにも、憶えとらん」
「そうか知らん?」
「もう、朝かね?」
「ええ、まもなく、夜が明けるでしょ」
「君は、寝ずに起きとったのか?」
「蚊が居るもんやけ、こうやって、一晩中、団扇で追っていましたの」
「蚊帳吊ったら、ええのに……」
「あんなこと」光丸は、ころころと笑って、「ほんとに、憶えていらっしゃらないらしいのね。蚊帳吊りましょう、というても――要らん。……蒲団敷きましょう、というても――要らん。……そうして、すこし嘔げてから、そのまま、眠っておしまいになったのよ。グウグウ、大きな鼾をかいて……」
「君が、どうして、ここに居るんだ?」
「まあ」
光丸は、ちょッと呆れた顔をしたが、それも、また、彼女の内心に渦巻いているよろこびの感情を倍加するもののようで、露骨に、口辺に、うれしげな微笑をたたえた。おさえても、おさえても、うずうずとほぐれて来るほくそ笑みを、殺すことが出来ないらしい。それを素直に、言葉に出して、
「あたし、うれしいわ」
と、いった。
勝則は、うれしいのか、悲しいのか、腹立たしいのか、わからなかった。