Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

「碌なこた、しやせん」と呟きながら、また、俥に乗って帰って行った。

プッ、プウッ、とラッパの音が遠ざかったころ、表から、「ノロ甚」が顔を出した。豆腐屋は早起きする。深夜なのに、甚七の店には、もう、あかあかと電燈がともり、モーターの廻る電動音、ベルトの鳴るひびきが起っていた。

「姐さん、夜中に、なんごとですか」

不審顔である。

「なんでもないですよ。甚さんは、精が出ることね。蔵が建つわ」

「ぐにゃぐにゃの豆腐の蔵がね。そんなもん、百建ったって、仕様があらせん」

「そんなら」

マンは微笑して、格子戸を閉め、錠を降した。

息子を奥座敷にみちびいた。

「ちょっと、そこに坐っていなさい」

そういって、台所に立った。ガスで、小さい薬缶に、湯を沸かした。戸棚から、「正喜撰」をとりだすと、急須に茶を入れた。茶托を二つ、茶盆にのせ、座敷へ運んだ。猫が二匹ついて来た。息子の前に坐ると、一つをさしだした。

「お茶をおあがり」

勝則は無言で、湯気の立つ熱い茶をのんだ。

マンも、両手でおしいただくようにして飲んでから、静かな語調で、息子にいった。

「勝則、お前、ほんとうに、知らんのかね」