Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
「お姐さん、大きな大事が起っちょるばい」
そういって、知らせてくれたのは、豆腐屋の「ノロ甚」だった。ふうふう、息を切らしている。
勝則は、東京に行って、留守だった。
子分連中は、ボーシンの松本重雄をはじめ、みんな、沖の現場に仕事に出ていて、誰もいない。
「市街戦が始まって、うちのオヤジも、巻きこまれちょるごとある」
マンの顔色が変った。炬燵を出た。眠っている猫たちをおどろかさないように、そっと蒲団から抜けると、大いそぎで、着物を脱いだ。金五郎の半ズボンをはき、玉井組の半纏を着た。
ゴム長靴をつっかけて、表に出た。雪がはげしく降っている。
小方長屋の横手を走った。すぐに、谷口政吉の家である。こういう大雪の日は、仕事を休むことをマンは知っていた。
マンは、まっすぐに、厩に行った。赤毛のボロ馬に鞍をつけて、ひきだした。
その物音に気づいたか、政吉がやって来た。馬泥棒とでも思ったらしい。
「政やん、ちょっと、馬を借る」
マンは、そういうと、身をおどらして、馬に飛び乗った。走りだした。
呆気にとられた政吉は、ぽかんと口をあいたまま、叔母の姿が、降りしきる雪のなかに消えて行くのを、いつまでも、見送っていた。