Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はないくとせ

花幾年

折口 信夫

Lisez 花幾年 (はないくとせ) de 折口 信夫 (おりくちしのぶ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 442 caractères · 5 écrans

Aozora Bunko

それからやがて一月、先発隊になった心持ちで、勝手明神前の古なじみの宿で、先生のお出でを前日から待って居た。変り者だという評判の亭主も「この座敷は、何の宮様のおとまり下されたのだが、先生のお気にめすだろうか」などと気にしていた。

ところが当日になって、どうしても東京をお離れになることの出来ぬ用事が出来て、今度は断念するという電報がとどいた。私よりもはりあいの抜けたような宿のあるじの顔が、今に印象している。私はその日午後、奥の千本まで登って行った。先生の為に、山の力者になったつもりで。奥はまだ莟が堅かった。金峰山神社・蹴抜けの塔、山道の青草の上を行く人がない。西行庵は、前がつまっているので、もうほのぐらくなって居た。行きづまった山合いへ、一町ほど急な降りになっている。その底を流れる細谷川のかすかな水音の聞える黄昏であった。向う側の山が頭の上まで迫って来て、その頃の植林し残した薄緑色の頂に鳥の声が聞える。

その翌年も、大抵なら都合がつくだろうと言われた先生の話で、また桜咲く山の宿でお待ち申して居た。ところがまたいけなかった。近年かたづかれた末の娘御の産み月が近いので、どうしても小人数の家内を手伝ってやらねばならぬからとの、おことわりの手紙が今度も桜花壇の亭主を失望させた。