Classiques japonais avec furigana
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ちゃやしらずものがたり
茶屋知らず物語
岡本 かの子
Lisez 茶屋知らず物語 (ちゃやしらずものがたり) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 346 caractères · 7 écrans
二人は、簾を垂らした中から艶っぽい拵え声で「寄らしゃりませい寄らしゃりませい」とモーションをかけている祇園の茶屋を、あちらこちらを物色して歩きましたが、いかさま探険するなら成るたけ大きな家がよかろうというので、門構えの立派な一軒へつかつかと入りました。そして
「私は摂津国法福寺の円通と申す禅僧、これなるは紀州光明寺の法眼と申す連れの僧、御主人も在らばお目にかかり度い」
と堅苦しく申入れました。取次ぎの女中から様子を聴いた茶屋の主人はびっくりしました。何の用事か知らないが、法眼、円通といえば当時噂に高い清僧たち、失礼があってはいけないと言うので、女中たちに云い含め、いとも丁寧に座敷へ通して正座に据え、自分は袴羽織で挨拶に出ました。これを見て、感心した法眼は円通に向って言いました。
「どうだ、茶屋というものは礼儀正しいものではないか」
主人が用向きを訊いてみると格別のことも無い様子、話の具合では、どうやら茶屋の遊びという事を清僧らしく簡単に思い做して、何も知らずに試みに来た様子。主人四郎兵衛は一時は商売並みにこの坊さんたちを遊興させて銭儲けをしようかとも思いましたが、二人の様子を見るのに余りに俗離れがしていて純情無垢のこどもに還っているのでこれに色町の慣わしのものを勧めるというのはどうにも深刻過ぎるように思え、