Classiques japonais avec furigana
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たけをたずねる
茸をたずねる
飯田 蛇笏
Lisez 茸をたずねる (たけをたずねる) de 飯田 蛇笏 (いいだだこつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 193 caractères · 15 écrans
それは既に長距離を歩いて来た為ばかりではない。南方の天空へ廻って来た日輪は、南面の山腹へ対して万遍なくその光を直射しその熱をふりそそぎ、為に山肌に敷かれた松の落葉や、楢、櫟、榛などの落葉がからからに乾からびて、一歩一歩踏んで行く草鞋をややもすると辷らせようとする。一二尺はおろか時によると二三尋も辷り落つることがある。辛うじて木株や松の根方などで踏み止まる。踏み止まるというより其処で支えられるのである。その危険をふせぐために、両足の指先へ力をこめて登って行かねばならぬ。少しく急な傾斜を持つところになると、眼前へあらわれてくる一つ一つの樹幹のうち最も手頃と速断さるるものを掴まえて登って行く。汗がいち早く頸のほとりを湿してくる。次いで額から湧き出でて両頬を伝うて流れ下るようになる。拭っている暇がない。暇がないというよりは寧ろ拭い去る必要を感じない。眼などへ沁み込んで多少刺戟さるることもあるが、それらはやや痛快の感をおぼえつつ登って行くのである。あの頂き、あの楢や栗の生え茂った絶頂へ行って一休しよう、その辺の疎らな松木立の中に猪の鼻か松茸がひそんでいるかもしれないと想う念がぐんぐん力をつけて一層両脚を急がせてくる。