Classiques japonais avec furigana
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Lisez 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 133 224 caractères · 269 écrans
などいう代りに新しく参議だの開拓使などいう官名が行われた明治初年の時代に対して、今となってはかえって淡く寂しい一種の興味を呼出されるのである。
明治十年頃小林清親翁が新しい東京の風景を写生した水彩画をば、そのまま木板摺にした東京名所の図の中に外桜田遠景と題して、遠く樹木の間にこの兵営の正面を望んだ処が描かれている。当時都下の平民が新に皇城の門外に建てられたこの西洋造を仰ぎ見て、いかなる新奇の念とまた崇拝の情に打れたか。それらの感情は新しい画工のいわば稚気を帯びた新画風と古めかしい木板摺の技術と相俟って遺憾なく紙面に躍如としている。一時代の感情を表現し得たる点において小林翁の風景版画は甚だ価値ある美術といわねばならぬ。既に去歳木下杢太郎氏は『芸術』第二号において小林翁の風景版画に関する新研究の一端を漏らされたが、氏は進んで翁の経歴をたずねその芸術について更に詳細なる研究を試みられるとの事である。
小林翁の東京風景画は古河黙阿弥の世話狂言「筆屋幸兵衛」「明石島蔵」などと並んで、明治初年の東京を窺い知るべき無上の資料である。維新の当時より下って憲法発布に至らんとする明治二十年頃までの時代は、今日の吾人よりしてこれを回顧すれば東京の市街とその風景の変化、風俗人情流行の推移等あらゆる方面にわたって甚だ興味あるもの