Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おちばいき
落ち梅記
山本 周五郎
Lisez 落ち梅記 (おちばいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 748 caractères · 61 écrans
「武庫の二階にある唐櫃でございますか」
こうきき返すと、父は頷いて、また次の文字を書いた。こんども幾たびか同じ字をなぞらなければならなかったが、これをつなぎ合せると「武庫の二階にある第五の唐櫃の中から(ひ)と上書のある書類包を持って来い」というのであった。なお誰にも知れぬようにと厳しく注意するようすである。
「承知いたしました、よくわかりましたから御安心ください」
金之助がそう云うと、助左衛門の眼から涙がこぼれ落ちた。発病してからたいへん感動し易く、ついすると涙をみせるが、そのときはいつもとは違っていた。枕元に備えてある紙でそっと拭きながら、金之助はふとわけのわからない不安におそわれたのである。――朝になってから、彼は指定された物を捜しにいった。武庫というのは説明するまでもなく武器物具を入れて置く蔵だ。沢渡家はずっと以前には百五十人も侍を預かっていたので、武庫も大きいのが三棟ある、しかし現在では人が減ったし必要もないから、一棟だけしか使っていなかった。……二階の唐櫃の第五をあけると、油紙に包んだ書類ようの物がぎっしり詰っていた。それは紙縒で固く縛ったうえにいちいち封印がしてある、いずれ藩政に関する助左衛門自身の秘録であろう、どれにも札紙が付いていて、「い」