Classiques japonais avec furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lisez 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 741 caractères · 486 écrans
その人
連れられてきた私を見てその人は云った。
「なんだ、またかえってきたのか。いくじなしめ。」
私はその時鈍く笑っただろうか。その人が言葉をかけてくれたのには、それでホッとする気持があったのだ。かえりたくないところへかえされた、私はそうした心でいた。
私は中ほどの場所に仕事の席をあてがわれた。私のすぐうしろのへんにはさきの日の馴染みの者達がいた。皆なにかと私に話しかけた。舎房もきっと一緒になることだろうと云ってくれた。さすがに私もしたしみを引き出されたが、でも気持はなじめなかった。みじめな気持を持ちつづけたまま、ただ仕事の手を動かしていた。……私はかえりたくないところへかえされてしまったのだ。その前日、よそへ移されるという、また元のところへゆくのだともいう話を聞いて、元のとこへはかえされたくないと思った。かつていたあの空気の中へは、(そこではみんながここよりも減った量の飯を食べている)……あの人の顔の下へまたまいもどるのは嫌だった。無性に嫌だった。けれど私はかえされてしまったのだ。
御飯の時、役目の者が配る飯を抱えている箱の中に突きの小さいのを見、私は悲しい腹立たしい気持で見た。