Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

そせい

蘇生

豊島 与志雄

Lisez 蘇生 (そせい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 974 caractères · 31 écrans

Aozora Bunko

彼は書棚の前に匐い寄って行った。そして静にその下の抽斗から懐剣を取り出した。鞘を払うと、刀身は鍔元に一点の錆を浮べただけで青白く輝いていた。彼は陰惨な笑いを顔に浮べた。そしてまたそっと蒲団の上に匐い寄っていった。

その時、縁側の障子にはまった硝子板の一枚から、何か黒いものがじっと室の中を覗き込んでいた。彼はぞっと頭髪を逆立てた。そして我を忘れて、いきなり手に持った懐剣をそれに目がけて投げつけた。硝子の壊れて飛び散る激しい物音が家の中に響き渡った。

婆さんと看護婦とが同時に飛び起きた。隣りの室から寝巻のまま中西が飛び込んで来た。敬助は石のように固くなって其処に眼を見開いていた。一瞬間そのままの時間が過ぎた。それから中西は、慴えている看護婦を促して、敬助を蒲団の中に寝かした。

蒲団の中にはいると、敬助は氷枕がいつのまにか普通の枕に変ってることに気付いた。「生きてる!」ということがまざまざと感じられた。眼をつぶると、慶子の幻が眼瞼のうちに浮んできた。

敬助は身を俯向きにして、悶えた。頭の中に慶子の最後の笑顔と「嬉しい!」と云った言葉とが蘇ってきた。而も両腕の中には永久の空虚が感じられた。