Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きょこうのはる
虚構の春
Lisez 虚構の春 (きょこうのはる) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 54 586 caractères · 108 écrans
も、そんなものだよ、パッション失わぬうちに書け、鉄は赤いうちに打つべし、と言われているよ。私は、けれども聞えぬふりした。しらじらしく、よそごとのみを興ありげに話すのだ。兎どころか、私のふるさとでは美しい女さえ溶けてしまうのです。吹雪の夜に、わがやの門口に行倒れていた唇の赤い娘を助けて、きれいな上に、無口で働きものゆえ一緒に世帯を持って、そのうちにだんだんあたたかくなると共に、あのきれいなお嫁も痩せて元気がなくなり、玉のようなからだも、なんだかおとろえて、家の中が暗くなった。主は、心細さに堪えかね、一日、たらいにお湯を汲みいれて、むりやりお嫁に着物を脱がせ、お嫁の背中を洗ってやった。お嫁はしくしく泣きながら、背中洗ってくれているやさしかった主にむかって、『私が死んでも、――』と言いかけて、さらさらと絹ずれの音がしてお嫁のすがたが見えなくなった。たらいの中には桜貝の櫛と笄が浮んでいるだけであった。雪女、お湯に溶けてしまった、という物語。私は尚も言葉をつづけて、私、考えますに葛の葉の如く、この雪女郎のお嫁が懐妊し、そのお腹をいためて生んだ子があったとしたなら、そうして子供が成長して、雪の降る季節になれば、雪の野山、母をあこがれ歩くものとしたなら、この物語、世界の人、ことごとくを充分にうっとりさせ得ると、信じて