Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぐびじんそう
虞美人草
Lisez 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 559 caractères · 401 écrans
多勢の間に立って、多数より優れたりとの自覚あるものは、身動きが出来ぬ時ですら得意である。博覧会は当世である。イルミネーションはもっとも当世である。驚ろかんとしてここにあつまる者は皆当世的の男と女である。ただあっと云って、当世的に生存の自覚を強くするためである。御互に御互の顔を見て、御互の世は当世だと黙契して、自己の勢力を多数と認識したる後家に帰って安眠するためである。小野さんはこの多数の当世のうちで、もっとも当世なものである。得意なのは無理もない。
得意な小野さんは同時に失意である。自分一人でこそ誰が眼にも当世に見える。申し分のあるはずがない。しかし時代後れの御荷物を丁寧に二人まで背負って、幅の利かぬ過去と同一体だと当世から見られるのは、ただ見られるのではない、見咎められるも同然である。芝居に行って、自分の着ている羽織の紋の大さが、時代か時代後れか、そればかりが気になって、見物にはいっこう身が入らぬものさえある。小野さんは肩身が狭い。人の波の許す限り早く歩く。
「阿爺、大丈夫」と後から呼ぶ。
「ああ大丈夫だよ」と知らぬ人を間に挟んだまま一軒置いて返事がある。