Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぐびじんそう
虞美人草
Lisez 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 559 caractères · 401 écrans
「うん」と老人は思い出したように膝を打つ。
「一あの花を見た事があるかい。あの床に挿してある」
老人はいながら、顔の向を後へ変える。捩れた頸に、行き所を失った肉が、三筋ほど括られて肩の方へ競り出して来る。
茶がかった平床には、釣竿を担いだ蜆子和尚を一筆に描いた軸を閑静に掛けて、前に青銅の古瓶を据える。鶴ほどに長い頸の中から、すいと出る二茎に、十字と四方に囲う葉を境に、数珠に貫く露の珠が二穂ずつ偶を作って咲いている。
「大変細い花ですね。――見た事がない。何と云うんですか」
「これが例の二人静だ」
「例の二人静? 例にも何にも今まで聞いた事がないですね」
「覚えて置くがいい。面白い花だ。白い穂がきっと二本ずつ出る。だから二人静。謡曲に静の霊が二人して舞うと云う事がある。知っているかね」
「知りませんね」
「二人静。ハハハハ面白い花だ」
「何だか因果のある花ばかりですね」
「調べさえすれば因果はいくらでもある。御前、梅に幾通あるか知ってるか」と煙草盆を釣るして、また煙管の雁首で灰の中を掻き廻す。宗近君はこの機に乗じて話頭を転換した。
「阿爺さん。今日ね、久しぶりに髪結床へ行って、頭を刈って来ました」