Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぐびじんそう
虞美人草
Lisez 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 559 caractères · 401 écrans
「そんなにあるものか」
「じゃ十円でも好え。五円でも好え」
浅井君はいくらでも下げる。小野さんは両肘を鉄の手擦に後から持たして、山羊仔の靴を心持前へ出した。煙草を啣えたまま、眼鏡越に爪先の飾を眺めている。遅日影長くして光を惜まず。拭き込んだ皮の濃かに照る上に、眼に入らぬほどの埃が一面に積んでいる。小野さんは携えた細手の洋杖で靴の横腹をぽんぽんと鞭うった。埃は靴を離れて一寸ほど舞い上がる。鞭うたれた局部だけは斑に黒くなった。並んで見える浅井の靴は、兵隊靴のごとく重くかつ無細工である。
「十円くらいなら都合が出来ない事もないが――いつ頃まで」
「今月末にはきっと返す。それで好かろう」と浅井君は顔を寄せて来る。小野さんは口から煙草を離した。指の股に挟んだまま、一振はたくと三分の灰は靴の甲に落ちた。
体をそのままに白い襟の上から首だけを横に捩ると、欄干に頬杖をついた人の顔が五寸下に見える。
「今月末でも、いつでも好い。――その代り少し御願がある。聞いてくれるかい」
「うん、話して見い」
浅井君は容易に受合った。同時に頬杖をやめて背を立てる。二人の顔はすれすれに来た。