Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lisez 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 559 caractères · 401 écrans

Aozora Bunko

塵事多忙だ。なかなか丸や三角を並べちゃいられない」

「そりゃおめでたい」と云った甲野さんは洋卓越に相手の頭をつらつら観察した。しかし別段批評も加えなかった。質問も起さなかった。宗近君の方でも進んで説明の労を取らなかった。したがって頭はそれぎりになる。

「まずここまでが報告だ、甲野さん」と云う。

「うちの母に逢ったかい」と甲野さんが聞く。

「まだ逢わない。今日はこっちの玄関から、上ったから、日本間の方はまるで通らない」

なるほど宗近君は靴のままである。甲野さんは椅子の背に倚りかかって、この楽天家の頭と、更紗模様の襟飾と――襟飾は例に因って襟の途中まで浮き出している。――それから親譲の背広とをじっと眺めている。

「何を見ているんだ」

「いや」と云ったままやっぱり眺めている。

「御叔母さんに話して来ようか」

今度はいやとも何とも云わずに眺めている。宗近君は椅子から腰を浮かしかかる。

「廃すが好い」

洋卓の向側から一句を明暸に云い切った。

徐に椅子を離れた長髪の人は右の手で額を掻き上げながら、左の手に椅子の肩を抑えたまま、亡き父の肖像画の方に顔を向けた。

「母に話すくらいなら、あの肖像に話してくれ」