Classiques japonais avec furigana
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むし
虫
江戸川 乱歩
Lisez 虫 (むし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 053 caractères · 86 écrans
そうする外には何の思案も浮ばなかった。「永久に……」と彼は何心なく考えた。だが、「永久」という言葉に含まれた、ある身の毛もよだつ意味に思い当った時、彼は余りの怖さに、ピョコンと立上って、いきなり部屋の中を、忙し相に歩き始めた。一刻も猶予のならぬことだった。だが、どんなに急いでも慌てても、彼には(恐らく神様にだって)どうすることも出来ないのだ。
「蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、ゝゝゝゝゝゝゝゝゝゝ」
彼の白い脳髄の襞を、無数の群蟲が、ウジャウジャ這い廻った。あらゆるものを啖いつくす、それらの微生物の、ムチムチという咀嚼の音が、耳鳴りの様に鳴り渡った。
彼は長い躊躇のあとで怖わ怖わ、朝の白い光線に曝された、恋人の上にかがみ込んで、彼女の体を注視した。一見した所、死後強直が、さき程よりも全身に行渡って、作り物の感じを増した外、さしたる変化もない様であったが、仔細に見ると、もう目がやられていた。白眼の表面は、灰色の斑点で、殆ど覆い尽され、黒目もそこひの様に溷濁して、虹彩がモヤモヤとぼやけて見えた。