Classiques japonais avec furigana
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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Lisez 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 662 caractères · 174 écrans
印税なれば初版一冊分をそっくり陶器と引替えに支払わなければならない、ひと月に二篇の小説をかくということも容易なことではないが、それが右から左に差し交わされて唐宋の壺一個が手にはいるということは、彼といえども、身の程知らずのばかばかしいことに気づくが、実際はその唐宋の古陶がほしくなると、気が終日其処に行って掻きむしられるのである。余り本の売れないのと同時に原稿もすぐには書けない彼としては、うけとった原稿料をそっくり手渡すということになれば、生活費の全部をそこにかけることになる、家庭へは無理をして貰い、そのかわりに彼は一つの壺を眺めていられるのである。こんな無理をして自分だけ好い目にあうということは我儘であり、女に入れ上げているようなものであった。財力のない人間が庭を作っても、碌な庭が作れない、庭には金を食わさなければ美しくならないからである。陶器も、最後には財力がなくては何一つ買うことが出来ない、金を食いちらして生きていることでは、陶器は庭や住居よりも、もっと大きく馬の如くに食いちらしている。金というまぐさは昨日も今日も何万かずつ食み、食い飽きることはないのだ、庭は一瞬にして何十万という札束は食いちらさない、じりじりと迫って来るけれど、陶器はすべての売買が一瞬の間に行われる。