Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みかん

蜜柑

佐左木 俊郎

Lisez 蜜柑 (みかん) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 618 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

一

お婆さんはもう我慢がしきれなくなって来た。けれども彼女は、しばらくの間を薄い襤褸布団の中で、ただ、もじもじしていた。

厚い板戸を隔てた台所の囲炉裏端では、誰か客があるらしく、しきりと太い話し声がやりとりされている。折々大きな笑い声も洩れて来る。慥かに誰かが来ているらしい。お婆さんは布団からそおうっと顔を出して見た。併しお婆さんは、また躊躇した。そして室の中を見廻した。

室の中にも晩秋の寂寥は感じられた。障子の上には、二尺ぐらいの高さのところまで、かんかんと陽があたっている。死に残った四五匹の蠅が、陽のあたった白い部分で、ぶぶうっと紙に突きあたっている。ところどころの、破れて垂れ下がった紙の上には、薄黒く埃が溜まっていた。

台所の囲炉裏端からは、再び大きな笑いの声が起こった。

「本当、豆でも買って、まめになんねえで、どうもこうも……」

ひどく嗄れた、老人らしい声であった。

「ほんでえ、俺家の婆様にも豆買いでもさせんべかな。」とお婆さんの伜の治助は笑いながら言った。

「此方の家の婆様なんか、何が……りっきとした息子があんのに。」

老人らしい声は、語調を力めて言った。