Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こうもり

蝙蝠

岡本 かの子

Lisez 蝙蝠 (こうもり) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 107 caractères · 23 écrans

Aozora Bunko

と博士の言葉に返事をしながら、今眼の前に見る蝙蝠の影に、二人が少年少女だった遠い昔の蝙蝠の羽撃きが心の中で調子を合せているようで、懐しい悲しい気持ちがした。

しばらくして夫人はおだやかに云った。

「それはそうと、もう二三日でお盆の仕度にちょっと東京へ帰って参ろうと思います」

「そしたら序にどっかで金米糖を見つけて、買って来て貰い度いね。この頃何だかああいう少年の頃の喰べものを、また喰べ度くなった」

博士は庭の植物に水をやりに行った。夫人は山の端に出た夕月を見つつ、自分が日比野の家へ入ってから、東京の家も、土蔵だけ残して、便利で明るい現代風の建物に改築したことや、良人の母親も満足して死に、良人の兄たちとも円満に交際を復旧したことや、そして子供達の無事な成長――

これが、良人のいう平凡な私たちの生涯の経過というものであったのかと想った。

夏も終る頃、日比野博士一家は東京の家へ戻って来た。またおだやかな日々が暫く経って行った或日、今も良人の研究室になっている土蔵の二階から、涌子は昔、自分に貰った蝙蝠を良人が少年の丹念を打ち籠めて剥製にしてあったのを持ち出した。