Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちょうのえ

蝶の絵

久生 十蘭

Lisez 蝶の絵 (ちょうのえ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 644 caractères · 49 écrans

Aozora Bunko

「だからって、放ってはおけない。あれじゃ、すこし、ひどすぎる。おれは、これから山川のところへ行くから」

そういって、新宿で岩城と別れた。

日暮れ近く、山川の家に着くと、玄関のそばの槐の葉繁みの中で、チラと黒い影が動いた。子供でものぼっているのかと思ったら、いつかのオランウータンが横枝にとまって、ヒラヒラ動く枯葉を、ギリシャの賢人のような顔で眺めていた。

客間で待っていると、四十五歳の老嬢が、皇后さまの宮中服を真似た、みょうな着付で出てきた。

「花世はね、風邪気味で、三日ほど前から、ひき籠っています……慧子のほか、誰も寄せつけないの。ご用でしたら、あたくしがうけたまわっておきましょう。どんなこと?」

「リーナという娘のことで……」

「あの娘ね……そうそう、二度ばかり、家へ来たことがあるわ。色は、黒いってんじゃないけど、どこか煤っぽくて、愛嬌でもあればのことですが、そんなところもなく、すがれ野菊といった面白味のない娘……愛情というのも、ずいぶんへんてこなものなの……花世の手に、ちょっと触っただけで、昂奮して、眼のなかを白くして、痙攣けてしまうというすごい過敏ぶり……気が触れてるんじゃないかと思ったくらい。