Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はえおとこ
蠅男
海野 十三
Lisez 蠅男 (はえおとこ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 129 caractères · 237 écrans
「帆村はん。これだけは誓うとくれやす。必要以上に、危険なことをしやはらへんことと、それからもう一つは、――」
「それからもう一つは?」
「それからもう一つはなア、一日に一度だけは、うちへ電話をかけとくんなはらんか。そうしたら、うち安心れて睡られます。よろしまんな」
「はッはッ、まるで坊やとのお約束みたいですが、たしかに承知しました。ではこれで、僕はかえります」
「あら、もう帰ってだすの。まあ、気の早い人だんな。いま貴郎のお好きな宇治羊羹を松が切っとりまんがな。拝みまっさかい、どうぞもう一遍だけ、お蒲団の上へ坐って頂戴な」
糸子は、真剣な顔をして、いっかな帆村を帰そうとはしなかった。
帆村は予定どおり、夜の闇にまぎれて、浮浪者姿で天王寺公園に入りこんだ。
「こらッ、お前なんや?」
乾からびた葡萄棚の下に跼ったとき、ロハ台に寝ていた男がムクムクと起きあがって、帆村に剣突をくわせた。
「ああ、おらあ新入りなんだ。こっちの親分さんに紹介してくれりゃ、失礼ながらこいつをお礼にお前さんにあげるぜ」
「な、なんやと。お前、東京者やな。おれに何を呉れるちゅうのや」
帆村は五十銭玉を掌の上にのせてみせた。