Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

Lisez 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 35 586 caractères · 71 écrans

Aozora Bunko

そうしてヒラヒラと野路からは、絹糸のような陽炎が立つ。

万事四辺は明るくて、陽気で美しくて楽しそうであった。

が、暗いものが一つあった。他ならぬ秋安の心であった。

「萩野と馴染んで一年になる。その交情は厚かったはずだ。あの女を苦しめた覚えはない。愛して愛して愛し抜いたはずだ。裏切られるような薄情なことを、俺は一度もしたことがない。にもかかわらず裏切られた。女の心というものは、ああも手の平を飜えすように、ひっくりかえるものだろうか?」

考えながら歩いて行く。

「あの花園の森の中で、去年松の花の咲く頃に、はじめて恋を語り合ったが、同じ松の花の咲く季節の、今年の春には同じ森で、気不味い別離を告げようとは……何だか俺には夢のようだ。化かされているような気持もする」

考えながら彷徨って行く。

と、にわかに笑い出した。

「ハッハッハッ、何と云うことだ! 未練もいい加減にするがいい。向こうから俺を捨たのだ。何をクヨクヨ思っているのだ」

しかしやっぱり寂しかった。

で、あてなしに歩いて行く。

しかしそういう寂しい心を、厭でも捨なければならないような、一つの事件が勃発した。