Classiques japonais avec furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lisez 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 970 caractères · 176 écrans
馬鹿のような無邪気さ
「ナニ、気が弱くて臆病?」
左門は、また呆れた。
「ええ、そうでございますわ。それに、謹み深い、丁寧な、善良お方でございますわ」
「…………」
「女の子の寝言に吃驚りなすって、紙帳の隅へケシ飛んで行ったまま、お行儀よく、膝にお手を置いて、かしこまっておいでになるのですものねえ」
云われて、左門は、自分を見廻して見た。なるほど、痩せた肩を聳かし、両手をお行儀よく膝の上へ置き、膝をちんまりと揃えて坐っていた。叱られた子供が、姉さんの小言を、かしこまって聞いている格好であった。左門は苦笑した。しかし左門としては、何も栞に遠慮して、そんな態度をとったのではなく、突然の栞の声に驚き、飛び退がった時にそういう姿勢をとり、それをこの時まで持ち続けて来たまでであった。
(それにしてもこの娘は、何んと朗らかで、無邪気なのであろう)
左門は、体を寛げた。
(いい気持ちだ)
左門は、心が豊かになり、和やかになるのを感じた。
「第一、このお家、妾のものでなく、あなた様のものでございますわ。あなた様がご主人様で、妾はお客様でございますわ。そのご主人様が、遠慮するということございませんわ」