Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
せいこのしじん
西湖の屍人
海野 十三
Lisez 西湖の屍人 (せいこのしじん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 487 caractères · 39 écrans
空はコバルトに晴れ、雲の影もなかった。このごろは毎日お天気つづきだった。
湖の左手には、黛をグッとひきのばしたように、蘇提が延々と続いていた。ややその右によって宝石山の姿がくっきりと盛上り、保叔塔らしい影が、天を指していた。いつ見ても麗しい西湖の風景だった。
だが、いつ見ても変らぬ風景だったことが、漢于仁には物足りなかった。それにこの室の窓は、非常に厚い壁を距てた彼方に開いていたので、自然、視界が狭く、窓下を覗くことも叶わなかった。
この室は、漢于仁の故郷であるところの浙江省は杭州の郊外、万松嶺の上に立つ、直立二百尺の楼台のうちにあって、しかもその一番高いところにあった。近代風の試みから、この室の天井は、厚い曇り硝子を貼りつめてあるので、日中は朝から晩まで、陽の光がさし、硝子を透して大空の青さが見えるようであった。
せめてこの室の南側に、もう一つの小窓でもあいていたら、そこからは、風致上よろしくはないかも知れないが、銭塘江の賑やかな河面が、近眼の彼にも、薄ぼんやり見えたことであろう。
(何故、自分の先祖は、この楼台の頂上に、たった一つの小窓しか、明けなかったのだろう)