Classiques japonais avec furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Lisez 註文帳 (ちゅうもんちょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 770 caractères · 67 écrans
寮はもうそこに見えます。一町とは間のない処、紅梅屋敷といえば直に知れますが、あれ、あんなに犬が吠えて、どうすることもならないから、生命を助けると思って、これを届けて下さいッて、拝むようにして言ったんだ。成程今考えるとここいらで大層犬が吠えたっけ。
何、頼まれる方では造作のないこと、本人に取っては何かしら、様子の分らぬ廓のこと、一大事ででもあるようだから、直にことづかった品物があるんです。
ただ渡せば可いか、というとね、名も何にもおっしゃらないでも、寮の姉さんはよく御存じ、とこういうから、承知した。
その寮はッて聞くと、ここを一町ばかり、左の路地へ入った処、ちょうど可い、帰路もそこだというもの。そのまま別れて遣って来ると、先刻尋ねました、路地の突当りになる通の内に、一軒灯の見える長屋の前まで来て、振向いて見ると、その婦人がまだ立っていて、こっちへ指をしたように見えたけれども、朧気でよくは分らないから、一番、その灯を幸。
路地をお入んなさいッて、酒にでも酔ったらしい、爺の声で教えてくれた。
何、一々委しいことをお話しするにも当らなかったんだけれど、こっちへ入って、はじめて、この明い灯を見ると、何だか雪路のことが夢のように思われたから、自分でもしっかり気を落着けるため、それから、筋道を謂わないでは、夜中に婦人