Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなしのくずかご
話の屑籠
豊島 与志雄
Lisez 話の屑籠 (はなしのくずかご) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 252 caractères · 11 écrans
だが、その一つ一つのなかには、或る心理や性格の断片が、くっきりと印象されていて、それを引延せば、一篇の小説になるようなものが、いくらもある。故人を取扱う場合に、その故人の身辺の反故が最も役立つことの多いように、現代人を取扱う場合に、こうした話の屑が最も役立つことが多い。文学者は往々、屑屋以上の丹念さと注意とで、話の屑籠のなかをひっかき廻す。
ただ、文学者の歎きは、話の屑籠のなかに、無用なものが余りに多いことである。私も多少文学をやるところから、或る海軍士官が、私へのおみやげとして、次のような話をシベリアから持ってきてくれた。
*
シベリアは寒い。その寒さが、秋になると、急激に襲ってくるからたまらない。一夜に、十度ほども気温が急降することがある。
そうした夜の、翌朝のことだ。起き出して、黒竜江の河畔に出てみると、無数に鴨が浮いている。南の方へ渡り後れた鴨にしては、余りに数が多いので、ふしぎに思うと、なあに、昨日までは、まださほど寒気が激しくはなかったのだ。河は氷もはらずに、洋々と流れていたのだ。それが、一晩のうちに、十度近くも気温が下ったので、河は一面に厚い氷にとざされている。