Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かこうとしょうり
賈后と小吏
田中 貢太郎
Lisez 賈后と小吏 (かこうとしょうり) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 751 caractères · 10 écrans
青年はあっけに取られていたが、老嫗の詞を聞いて吾に返った。
「ここはどこですか」
「いらしてくだされたら、すぐお解りになります」
「そうですか」
「では、いらしてください、まいりましょう」
青年は老嫗に魂を掴まれたように老嫗に随いて歩いた。下には黄金色をした磚を鋪いてすこしの塵もなかった。老嫗は青年を伴れて遊廊を通って往った。遊廊の欄干も皆宝石であった。真珠の簾を垂れた窓からは薫物や香油の匂いがむせるようにもれてきた。その遊廊には錦繍の衣を着て瓊瑶の帯をした絵で見る仙女のような若い女が往来していて、それが二人と擦れ違うことがあった。その若い女達は青年をじろじろと見て往った。皆笑いをかくしているようであった。中には老嫗と眼くばせするように優しい眼づかいをする者もあった。青年はここはどうしても人間界ではないと思いだした。青年は不安になってきた。
「ここは、ここは、どこでしょうか」
老嫗は青年の詞を押えつけるように言った。
「ここへ来たからには、もう何も言わないが良い、ここは人間のくる処ではありません」
人間のくる処でないというなら仙界であろう。青年の心は震えた。