Classiques japonais avec furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lisez 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 174 caractères · 33 écrans
「泥棒! 泥棒!」と喚き立てる夜鷹。
「ええ八釜敷!」とサット突く。
ドンという水の音。パッと立つ水煙り。夜鷹は木津川へ投げ込まれた。
その時、黒い人影が川下の方から走って来たが、
「そこに居るのは姐御じゃねえか」
近寄るままに声を掛ける。
「ああ忠さんかいどうおしだえ?」
「ひでえ目に逢いましたよ」
「眼端の鋭いお前さんが、酷い目に逢ったとは面白いね。何を一体縮尻たんだえ?」
「何ね中之島の蔵屋敷前で、老人の武士を叩斬り、懐中物を抜いたはいいが、桜川辺りの往来でそいつを落としてしまったんだ。つまらない目にあいやしたよ」
聞くとお菊はプッと吹き出し、
「落とした金は二百両かえ?」
「へえ、いかにも二百両で……」
「革の財布に入れたままで?」
「こりゃ面妖だ。こいつア不思議だ!」
「女を買うもいいけれど、夜鷹だけは止めたがいいね」
「…………」
「何だ詰まらないお前の金か。無益の殺生したものさね。……さあ返すよ。それお取り」
「殿様、今夜は漁れましょうぜ。潮の加減でわかりまさあ」
ギーギーと櫓を漕ぎながら漁師は元気よく云うのであった。
「おお漁れそうかな。それは有難い網の上らぬほど漁りたいものだ」