Classiques japonais avec furigana
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えっちゅうつるぎだけせんとうき
越中劍岳先登記
柴崎 芳太郎
Lisez 越中劍岳先登記 (えっちゅうつるぎだけせんとうき) de 柴崎 芳太郎 (しばざきよしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 078 caractères · 7 écrans
むかし何時の時代か四尺五尺位の建物でもありましたものか、丁度その位の平地が三ヶ処ばかりありました、しかし木材の破片などは一切見当りません。一行がこの絶頂に於て非常に驚いたのは古来いまだかつて人間の入りし事のないちょうこの山の巓きに多年風雨に曝され何ともいえぬ古色を帯びた錫杖の頭と長さ八寸一分、幅六分、厚三分の鏃とを発見したことである。鏃は空気の稀薄なるためか空気の乾燥せる山頂にありしがためかさほど深錆とも見えないが、錫杖の頭は非常に奇麗な緑青色になっております。この二品は一尺五寸ばかり隔ててありましたが、何時の時代、如何なる人が遺して去りしものか、槍の持主と錫杖の持主とは同一の人かもし違って居るとすれば同時代に登りしものか、別時代に登りしものか、これらはすこぶる趣味ある問題で、もし更に進んで何故にこれらの品物を遺留し去りしか、別に遺留し去ったものでなく、風雨の変に逢うて死んだものとすれば遺骸、少くも骨の一片位はなくてはならんはずだが、品物はそのまま其処に身体は何処か渓間へでも吹飛されたものか、この秘密は恐くは誰れも解くものはあるまい、なお不審に堪えざるはその遺留品ばかりではない、この絶頂の西南大山の方面に当り二、三間下に奥行六尺、幅四尺位で人の一、二人は露宿し得る