Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろじょう

路上

芥川 竜之介

Lisez 路上 (ろじょう) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 43 539 caractères · 87 écrans

Aozora Bunko

」

「あれで苦しくは無いんでしょうか。」

「無論、苦しいも苦しくないもないんです。」

初子は眉一つ動かさずに、冷然と穴の中の男を見下していた。辰子は――ふと気がついた俊助が初子から眼を転じた時、もうその部屋の中にはいつの間にか、辰子の姿が見えなくなっていた。

二十七

俊助は不快になっていた矢先だから、初子と新田とを後に残して、うす暗い廊下へ退却した。と、そこには辰子が、途方に暮れたように、白い壁を背負って佇んでいた。

「どうしたのです。気味が悪いんですか。」

辰子は水々しい眼を挙げて、訴えるように俊助の顔を見た。

「いいえ、可哀そうなの。」

俊助は思わず微笑した。

「僕は不愉快です。」

「可哀そうだとは御思いにならなくって?」

「可哀そうかどうかわからないが――とにかくああ云う人間が、ああしているのを見たくないんです。」

「あの人の事は御考えにならないの。」

「それよりも先に、自分の事を考えるんです。」

辰子の青白い頬には、あるかない微笑の影がさした。

「薄情な方ね。」

「薄情かも知れません。その代りに自分の関係している事なら――」

「御親切?」

そこへ新田と初子とが出て来た。