Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おどるちへいせん

踊る地平線(上)

谷 譲次

Lisez 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) de 谷 譲次 (たにじょうじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 168 926 caractères · 332 écrans

Aozora Bunko

大きな楡の木のかげである。

白ずくめの若い保姆が乳母車を停めてやすんでいるのだ。

黒塗りの小さな乗物、そのなかのふっくらした白布、それらのうえにまんべんなく小枝の交錯を洩れる陽が降って、濃い点が無数に揺れている。乳母車の主の赤ん坊は、白い被り物の下から赤い頬をふくらせて、太短い直線的な手の運動で、非常に熱心に、自分の靴下の爪さきを引っ張っている。保姆のほかに女中がひとり、それに、すこし離れて私服の役人らしい紳士がぶらりと立っていた。

みんなが赤んぼうを見て往く。なかには帽子をとっている人もある。

保姆は片手を乳母車にかけて、うしろ向きに女中と話しこみ、赤んぼはひとりでいつまでも自分の足と遊んでいる。一生懸命に靴下を摘んで、ながいことかかって或る程度まで脚を空に上げる事業に成功するんだが、そのうちにぽつんと切るように手が離れると、身体ぜんたいがころっと反り返って驚いて両腕をひろげる。そしてまたしばらく自分の足さきを凝視し、その誘惑に負けたように手を出すのだ。いつまでも同じことを反覆している。

赤んぼがぴいんと足をはじいて車が動揺する時だけ、保姆はちょっとかえりみるが、小さな主人が飽きずに幸福にしているのを確かめると、安心してふたたび女中のおしゃべりに熱中し出す。