Classiques japonais avec furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lisez 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) de 谷 譲次 (たにじょうじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 168 926 caractères · 332 écrans
第一に、私たちはいま一に運命の動きにかかる冒険に面している事実を、はっきりと自覚しなければならないこと。なぜなら、Old Bill ――おやじはカイゼルのことをそう呼んでいた。オウルド・ビル、つまり年老いた前独帝ウィリアムだ!――にうまく会えるかどうかは、ただ運命が私達のうえに微笑むか否かによってのみ決するのだから。というのは、老ビルはよくふらふらと風に吹かれてドュウルンの村をあるいている事がある。そして、おもてへ出だすと、このホテルへなぞ毎日のようにやって来て、そこの椅子に――とパブスト氏は応接間にある奇妙な三角形の椅子をゆびさして――半日でも腰をおろして世間ばなしをして行く。が、それは多く冬のことで、夏はあんまり外出しないようだ。それでも絶対に出てこないとは限らない。現に十日ほど前もぶらりと這入って来て、子供――パブスト氏には七、八つの女の児がある――の頭を撫でたり、アムステルダムの新聞を読んだりして帰って行ったから、ことによるとまた今日あたりひょうぜんと入来しないともいえない。もとより必ずくるとは断言できない。しかし、こうしているうちにも、そこらへぬうっと出現するかも知れないし、そうかといって、運がわるければ、何日待っても一歩も邸のそとへ出ないこともあろう。