Classiques japonais avec furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(下)
谷 譲次
Lisez 踊る地平線(下) (おどるちへいせん) de 谷 譲次 (たにじょうじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 823 caractères · 283 écrans
ことにそのためにつむじを曲げて、芝居を蹴飛ばすようなことがあっちゃあ大痛手だ。そこで、一座の反対を退けた支配人は、しずかに舞台の横へ出て行った。
イダルゴの出は迫っていた。彼女は、歩行の調子をつけるためにそこらをあるき廻っていた。そこをそっと支配人が肩を叩いた。そして平静にささやいた。
『イダルゴ、ホウセリトが怪我をしたよ。』
振り返ったイダルゴは二、三歩よろけた。眼が燃えた。が、黙っていた。ものを言うひまがなかったのだ。ちょうど王子の出である。しいんとして待っている観客が犇々と感じられる。イダルゴはためらった。イダルゴは胸を張った。そうしたら次ぎの瞬間、彼女は舞台でスポット・ライトを浴びていた。
闘牛士の怪我――それは直ちに死を意味する場合が多い。イダルゴはもうすべてを知っていたのだ。
残りのイダルゴの演出は白熱的だった。力強い大声の台詞が劇場中に鳴り響いた。高々と笑う彼女の声が楽屋の人の胸を衝いた。このいつもに倍したイダルゴの舞台に、見物はアンコオルを叫んで果てしがなかった。それにもイダルゴは一々答えて、何度も何度も舞台へ現れて接吻を投げた。微笑を送った。