Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

とかいのなかのことう

都会の中の孤島

坂口 安吾

Lisez 都会の中の孤島 (とかいのなかのことう) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 205 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

おお、こわいね」

しかし、その後も、グズ弁は身からスパナーを放さなかった。

するとミヤ子は多くの常連が飲んでる前で、

「この人、スパナーを持ッてんのよ。身から、放したことがないわよ」

笑いながら、ズケズケ云った。グズ弁はてれて、赤くなり、

「オレは運転手だから、自動車強盗の用心しなきゃアならない。オチオチできない商売はつらいよ」

しかし、右平の顔色が変ったのをグズ弁は見逃さなかった。ミヤ子は笑顔をそむけて満足そうであった。

「なんで、あんなことを云った?」

あとでグズ弁がミヤ子をなじると、

「だってさ。私、心配だからさ。あんた、下の夫婦を狙ってるから、怖いのよ。ああ云っとけば、あんたも、うっかり、スパナーで下の夫婦を殴り殺すわけにもいかないでしょうね。後生だから、そればかりはよしてよ。私だって、寝ざめが悪いわよ」

ミヤ子は蒼い顔をひきつらせて、もう我慢できないという見幕で、云った。

★

その時から一月ちかい月日がすぎた。

その夜の恋人はグズ弁であった。その晩はお客が殆どなかったので、グズ弁は店の一定の売上げのため、ミヤ子にたのまれて、多量にのみすぎた。