Classiques japonais avec furigana
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しゅゆうれつでん
酒友列伝
山之口 貘
Lisez 酒友列伝 (しゅゆうれつでん) de 山之口 貘 (やまのくちばく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 066 caractères · 12 écrans
云わば、それほど酒友があって、酒友がないのだ。
昭和のはじめごろ、中野駅前の屋台のチャンソバ屋で、伊福部隆輝と知ったが、かれは評論家として、詩誌(「抒情詩」など)、新聞、などにすでに物を書いていた。是非、家に遊びに来いと云うわけで、それからしばしばかれと飲んだ。文筆家での最初の酒友であるが、酒癖の方はどうであったかとんと記憶にない。その頃のかれが可愛がっていた少年に、矢張り詩を書いているMという美少年があった。Mも酒が好きでよくいっしょに飲んだが、半年ばかり姿を見せなかったので、ある日、Mの家を訪ねてみたところ、母親が玄関に出て来て、今までと違った眼つきでぼくのことを睨んだのである。
「いませんか。」ときくと、
「いませんよ。」と、突っけんどんに云って睨んだまま動かなかった。どういうわけなのかわからなかったのであるが、幾日か経ってMに逢ってみると、母親がぼくに対してとても腹を立てているというのであった。
「実はね。おふくろの着物をみんな質に入れちゃって、それがばれちゃったんですよ。」
「それで。」
「それで、つい、ばくさんが困っているんでばくさんにやったと云っちゃったんです。