Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のぎくのはか

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lisez 野菊の墓 (のぎくのはか) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 539 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

しかしその頃から今までにない考えも出て来た。民子はただただ少しも元気がなく、痩衰えて鬱いで許り居るだろうとのみ思われてならない。可哀相な民さんという観念ばかり高まってきたのである。そういう訣であるから、学校へ往っても以前とは殆ど反対になって、以前は勉めて人中へ這入って、苦悶を紛らそうとしたけれど、今度はなるべく人を避けて、一人で民子の上に思いを馳せて楽しんで居った。茄子畑の事や棉畑の事や、十三日の晩の淋しい風や、また矢切の渡で別れた時の事やを、繰返し繰返し考えては独り慰めて居った。民子の事さえ考えればいつでも気分がよくなる。勿論悲しい心持になることがしばしばあるけれど、さんざん涙を出せばやはり跡は気分がよくなる。民子の事を思って居ればかえって学課の成績も悪くないのである。これらも不思議の一つで、如何なる理由か知らねど、僕は実際そうであった。

いつしか月も経って、忘れもせぬ六月二十二日、僕が算術の解題に苦んで考えて居ると、小使が斎藤さんおうちから電報です、と云って机の端へ置いて去った。例のスグカエレであるから、早速舎監に話をして即日帰省した。何事が起ったかと胸に動悸をはずませて帰って見ると、宵闇の家の有様は意外に静かだ。