Classiques japonais avec furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lisez 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 319 caractères · 29 écrans
「知るけえ! ただ異様な物と見たばかりに俺たちゃあこうして後を――。」と一人。
「屑屋渡世のお前なんざあ知るめえが此頃このあたりゃあ厳しい御詮議――。」とまた一人。
それを遮って彦兵衛は高札を指さした。
「あれけえ?」
「それほど承知ならなおのこと、隠した物をこれへ出しな。」
返事の代りに彦兵衛は訊き返した。
「あの犬あどこから来ましたえ?」
「辰う、発見たなあお前だなあ?」
「うん。」辰と呼ばれた男は息を弾ませて、「うん、小舟町の方から来やあがった。」
「小舟町?」
「うん。で、何だが妙竹林な物を口っ端へぶら下げてやがるから、俺あ声揚げて追っかけたんさ。するてえと――。」
「するてえと、ここにいなさる衆が突ん出て来て、たちまち犬狩りがおっ始まったってえわけですかえ――や、おおけに。」
くるりと廻り右した彦兵衛は何思ったかすたすた歩き出した。
人々はあわてた。
「おい、そいつを持ってどこへ行くんだ?」
「なんだか出して見せろ!」
「こん畜生、怪しいぞ。」
「かまうこたあねえ。こいつから先にやっちめえ!」
「それっ!」
こんな声を背後にすると彦兵衛はやにわに走り出した。町内の者も一度に跡を踏んだ。