Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lisez 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 145 caractères · 19 écrans
こんな具合にいろいろ見当を立てて見てよ、それを片っ端から毀して行って、おしまいの一つに留めを刺して推量を決めるってのが、お前の前だが、これはこの目明し稼業の骨ってもんだぜ。」
そのころ八丁堀の釘抜藤吉といえば、広い江戸にも二人と肩を並べる者のない凄腕の目明しであった。さる旗本の次男坊と生れた彼は、お定まり通り放蕩に身を持ち崩したあげくの果てが七世までの勘当となり、しばらく土地を離れて雲水の托鉢僧としゃれて日本全国津々浦々を放浪していたが、やがてお膝下へ舞い戻って来て、気負いの群から頭を擡げて今では押しも押されもしない、十手取繩の大親分とまでなっていたのであった。脚が釘抜のように曲っているところから、釘抜藤吉という異名を取っていたが、実際彼の顔のどこかに釘抜のような正確な、執拗な力強さが現れていた。小柄な貧弱な体格の所有主であったが腕にだけ不思議な金剛力があって柱の釘をぐいと引っこ抜くとは江戸中一般の取り沙汰であった。これが彼を釘抜と呼ばしめた、真正の原因であったかもしれないが、本人の藤吉はその名をひそかに誇りにしているらしく、身内の者どもは藤吉の鳩尾に松葉のような小さな釘抜の刺青のあることを知っていた。