Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
Lisez 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 188 caractères · 43 écrans
しかし監禁室の生活はとても退屈だった。思ってもみるがいい。三度の飯をたべる以外に何の仕事がある訳ではなく、本も新聞もないのだ。窓から外を見ようとすれば、塀が意地わるくふさいでいた。
この退屈な監禁室の生活に、ただ一つ僕を慰めてくれたものがあった。それはひそかに身に隠して置いた一個の鍵だった。それは実は森おじさんの戸棚にもぐりこんだとき、隅に落ちていたのを失敬したものであるが、極く昔、和蘭あたりで作られたものでないかと思うほど、古ぼけた珍らしい形の鍵だった。そしてもう一つ奇妙なことに、その鍵の握り輪の内側が、丁度若い女の横顔をくりぬいたような形になっていた。そこがたいへん僕の気に入って、無断で貰ってきたのだったが、その鍵だけは監視人の眼も胡魔化しおおせて、いまだに僕の手にあり、僕はそれを唯一の玩具――いや宝物として退屈きわまる毎日をわずかに慰めていたのだった。
その後、ついに会えないかと思った母親にも、また森おじさんにも、たった一度だけ会う機会があった。しかもそのときは二人揃って一緒に、この病室を訪れた。僕は天にも昇る悦びで、僕は気が変ではないから直ぐ出してくれるようにと熱心に頼んだのである。