Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Lisez 鎧櫃の血 (うし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 702 caractères · 99 écrans

Aozora Bunko

その帰り道に、かの円乗寺の前を通りかかった。

「あの時はどういう料簡だったのか今では判りません。」と、治三郎老人は我ながら不思議そうに語るのであった。

まったく不思議と思われるくらいで、治三郎はその時ふいとお七の墓が見たくなったのである。彰義隊と八百屋お七と、もとより関係のあるべき筈はないが、彰義隊の一人石原治三郎は唯なんとなくお七の墓に心を惹かれたのである。彼は円乗寺の門内にはいって、お七の墓をたずねて行った。墓のほとりの八重桜はもう青葉になっていた。痩せても枯れても三百五十石の旗本の殿様が、縁のない八百屋のむすめなどに頭を下げる理屈もないが、相手が墓のなかの人であると思うと、治三郎の頭はおのずと下がった。

寺を出て、下谷の方角へ戻って来ると、池の端で三人の隊士に出逢った。

「午飯を食いに行こう。」

「雁鍋へ行こう。」

四人が連れ立って、上野広小路の雁鍋へあがった。この頃は世の中がおだやかでない。殊に彰義隊の屯所の上野界隈は、昼でも悠々と飯を食っている客は少かった。四人は広い二階を我物顔に占領して飲みはじめた。あしたにも寄手が攻めて来れば討死と覚悟しているのであるから、いずれも腹いっぱいに飲んで食って、酔って歌った。