Classiques japonais avec furigana
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しっぽうのはしら
鏡花短編集
泉 鏡花
Lisez 鏡花短編集 (しっぽうのはしら) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 632 caractères · 32 écrans
近くに藁屋も見えないのに、その山裾の草の径から、ほかほかとして、女の子が――姉妹らしい二人づれ。……時間を思っても、まだ小学校前らしいのが、手に、すかんぼも茅花も持たないけれど、摘み草の夢の中を歩行くように、うっとりとした顔をしたのと、径の角で行逢った。
「今日は、姉ちゃん、蕨のある処を教えて下さいな。」
肩に耳の附着くほど、右へ顔を傾けて、も一つ左へ傾けたから、
「わらび――……小さなのでもいいの、かわいらしい、あなたのような。」
この無遠慮な小母さんに、妹はあっけに取られたが、姉の方は頷いた。
「はい、お煎餅、少しですよ。……お二人でね……」
お駄賃に、懐紙に包んだのを白銅製のものかと思うと、銀の小粒で……宿の勘定前だから、怪しからず気前が好い。
女の子は、半分気味の悪そうに狐に魅まれでもしたように掌に受けると――二人を、山裾のこの坂口まで、導いて、上へ指さしをした――その来た時とおんなじに妹の手を引いて、少しせき足にあの径を、何だか、ふわふわと浮いて行く。……
さて、二人がその帰り道である。なるほど小さい、白魚ばかり、そのかわり、根の群青に、薄く藍をぼかして尖の真紫なのを五、六本。