Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かのように
阿部一族・舞姫
Lisez 阿部一族・舞姫 (かのように) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 875 caractères · 141 écrans
婆あさんはこの話の裏面に、別に何物かがあるのを、石田に発見して貰いたいのである。ところが石田にはどうしてもそれが分らないらしい。どうも馬鹿なのだから、分らないでも為ようがない。そこでじれったがりながら、反復して同じ事を言う。しかし自分の言うことが別当に聞えるのは強いので、次第に声は小さくなるのである。とうとうしまいには石田の耳の根に摩り寄って、こう云った。
「こねえな事を言うては悪うござりまするが、玉子は旦那様の鳥も生まんことはござりません。どれが生んでも、別当さんが自分の鳥が生んだというのでござりますがな。」
婆あさんはおそるおそるこう云って、石田が怒って大声を出さねば好いがと思っていた。ところが石田は少しも感動しない。平気な顔をしている。婆あさんはじれったくてたまらない。今度は別当に知れても好いから怒って貰いたいような気がする。そしてとうとう馬鹿に附ける薬はないとあきらめた。
石田は暫く黙っていて、極めて冷然としてこう云った。
「己は玉子が食いたいときには買うて食う。」
婆あさんは歯痒いのを我慢するという風で、何か口の内でぶつぶつ云いながら、勝手へ下った。