Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

Lisez 陽炎座 (かげろうざ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 381 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

遊女のようではなくって、」

「構わないの、お稲さんが寝衣の処だから、」

「ああ、ちょっと。」

と美しい女が留める間に、聞かれた饂飩屋はツイと引込む。

「あら、やっぱりお稲さん、お稲さんですわ、貴方。」

と言う。紳士を顧みた美しい女の睫が動いて、目瞼が屹と引緊った。

「何、稲荷だよ、おい、稲荷だろう。」

紳士も並んで、見物の小児の上から、舞台へ中折を覗かせた。

「ねえ、この人の名は?……」

黒縮緬の雪女は、さすが一座に立女形の見識を取ったか、島田の一さえ、端然と済まして口を利こうとしないので、美しい女はまた青月代に、そう訊いた。

「嵐お萩ッてえの……東西々々。」

と飜然と隠れる。

「芸名ではない。役の娘の名を聞かしておくれ、何て云うの、よ、お前。」

と美しい女は、やや急込んで言って、病身らしく胸を圧えた。脱いだ羽織の、肩寒そうな一枚小袖の嬌娜姿、雲を出でたる月かと視れば、離れた雲は、雪女に影を宿して、墨絵に艶ある青柳の枝。

春の月の凄きまで、蒼青な、姿見の前に、立直って、

「お稲です。」

と云って、ふと見向いた顔は、目鼻だち、水に朧なものではなかった。

十六