Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ざっき(いち)

雑記(Ⅰ)

寺田 寅彦

Lisez 雑記(Ⅰ) (ざっき(いち)) de 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 568 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

聖徳太子が四十三歳の時に信貴山で洞簫を吹いていたら、山神が感に堪えなくなって出現して舞うた、その姿によってこの舞を作って伶人に舞わしめたとある。

始めに、たぶん聖徳太子を代表しているらしい衣冠の人が出て来て、舞台の横に立って笛を吹く。しばらくすると山神が出て来て舞い始める。おどろな灰褐色の髪の下に真黒な小粒な顔がのぞいている。色があまりに黒いのと距離が遠いのとで、顔の表情などは遺憾ながら分らない。片手に何か短い棒のようなものを固く握っているが、これも何であるか分らなかった。しかし私にはそれはどうでもよい。面白いのはその運動である。頭の上で近付けた両手を急速に左右に離して空中に円を描くような運動、何かものを跨ぎ越えるような運動、何ものかに狙い寄るような運動、そういうような不思議な運動が幾遍となく繰り返された。

前の二種の舞がいかにもゆるやかな、のんびりとしたものであったのに反して、この蘇莫者にはどこかもう少し迫った感情のようなものが出ている。それは畢竟運動の速度、従ってエネルギーの差から起るものかもしれないが、そればかりでなく、この舞人の挙動自身に何かしらある感情の逼迫を暗示するものがあるのかもしれない。