Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あめとこども

雨と子供

宮本 百合子

Lisez 雨と子供 (あめとこども) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 204 caractères · 7 écrans

Aozora Bunko

大竹藪の真ん中で嵐に会った人間は今自分のいる外の天地にも同じ変化が起っているのだとはとても信じ得まい。上を仰ぐ――真青な騒々しい動揺。横を窺う――条を乱し死者狂いのあばれよう。一体これは全くただの雨風であろうか? 自分というとりこめられた一つの生きものに向って、何か企み、喚めき、ざわめき立った竹類が、この竹藪を出ぬ間に、出ぬ間に! と犇めき迫って来るような凄さを経験するに違いない。

空が荒模様になり、不機嫌な風がザワザワ葉を鳴らし出すと、私の内にある未開な原始的な何ものかが不可抗の力で呼びさまされる。凝っと机について知らぬ振などしていられない。私はきっと梢の見えるところまで出かけ、空を眺め、風に吹かれ、痛快なおどろきとこわさを一心に吸い込もうとする。今日も、椽側の硝子をすかし、眼を細くして外界の荒れを見物しているうちに、ふと、子供の時のことを思い出した。

二

子供というものはいつも珍しいことが好きなものだ。晴れた日が続く、一日、目がさめて雨が降っているのを知ると、どんなにそれが珍しく、嬉しく素敵なことか!

「ああ雨が降ってる!」

と心に叫ぶ時のわくわくする亢奮を、今も尚鮮かに思い出せるが――然し、子供の時分雨が降ると何故あんなに家じゅう薄暗くなっただろう。