Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あめのやまぶき

雨の山吹

山本 周五郎

Lisez 雨の山吹 (あめのやまぶき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 433 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

二

自分たち二人以外には、誰にも事実を知れないようにすること、などである。

「わかりました、ではいって来ます」

又三郎は元気な声で云った。立つまでは顔つきも明るかったが、廊下へ出ると急に眉をひそめ、苦痛を感ずるもののように、強く唇を噛んだ。

「待て、汝生」彼は呟いた、「――おれがゆくまで待て、死ぬんじゃないぞ」

二

馬を乗り続けて、小松へ着いたのは午ちかい時刻だった。柊屋という宿を訪ねると、汝生はもういなかった。

「皆さまがお立ちになって一刻ばかりすると、もう治ったから駕籠でゆけば追いつくだろうと仰しゃいまして、急にお立ちなされました」

宿の者はそう云った。供を付けようとしたが、駕籠でゆくのだからと断わって、独りで出ていったそうである。又三郎はすぐに駕籠屋へまわってみた、すると、寺井の宿まで送って、宿はずれでおろした。ということで、そのあとどうしたかはわからなかった。

昼食の時刻を過ぎたが、食欲もないし気もせくので、彼はそのまま寺井まで戻った。そこは手取川に近い小さな宿場であるが、付近に陶器を多く産するのと、川上の鶴来へゆく道の岐れる処で、小さいながら繁昌している土地だった。