Classiques japonais avec furigana
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せつれいきじ
雪霊記事
泉 鏡花
Lisez 雪霊記事 (せつれいきじ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 532 caractères · 14 écrans
この大雪の中に。
二
流るる水とともに、武生は女のうつくしい処だと、昔から人が言うのであります。就中、蔦屋――その旅館の――お米さん(恩人の名です)と言えば、国々評判なのでありました。
まだ汽車の通じない時分の事。……
「昨夜はどちらでお泊り。」
「武生でございます。」
「蔦屋ですな、綺麗な娘さんが居ます。勿論、御覧でしょう。」
旅は道連が、立場でも、また並木でも、言を掛合う中には、きっとこの事がなければ納まらなかったほどであったのです。
往来に馴れて、幾度も蔦屋の客となって、心得顔をしたものは、お米さんの事を渾名して、むつの花、むつの花、と言いました。――色と言い、また雪の越路の雪ほどに、世に知られたと申す意味ではないので――これは後言であったのです。……不具だと言うのです。六本指、手の小指が左に二つあると、見て来たような噂をしました。なぜか、――地方は分けて結婚期が早いのに――二十六七まで縁に着かないでいたからです。
(しかし、……やがて知事の妾になった事は前にちょっと申しました。)
私はよく知っています――六本指なぞと、気もない事です。