Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くものこみち
雲の小径
久生 十蘭
Lisez 雲の小径 (くものこみち) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 634 caractères · 33 écrans
香世子の霊も、だんだん対談のコツをおぼえてきて、自由にものをいうようになり、白川が忘れているような細かいことを思いだしては、懐しがったり、笑ったりし、話の途中で昂奮してくると、身もだえをしながら、
「あたし、どうしようかしら」
と白川の胸に倒れかかってくるようなこともある。
霊に肉体がないなどと、誰が言う。借りものとはいえ、体温の通った完全な五体をそなえているのだから、愛の接触に事を欠くことはない。押せば押しかえし、手を握れば、すぐ握りかえしてくるという濶達さで、その辺の機微は、霊の交遊の経験のない連中には、思いも及ばぬことであった。白川は霊界に足をとられて、抜きも差しもならなくなり、一年ほどの間、夢中低徊のおもむきで、根気よく現世と死後の世界を往復していたが、霊愛の修業も、霊の友会の解散で、はかなくも終幕となった。
白川が霊の友会に行きはじめたころ、玄関脇の待合でいろいろなひとの経験を聞いたが、なにかの折、ある男が、
「妻はですね、このごろ、もうひと時も私を離したくないふうでして、なぜ、はやくこちらの世へ来てくれないのかと、そればかり言います。妻の霊を呼びだして、救ってやったつもりでしたが、かえって苦しませるような結果になってしまいまして、私も責任を感じますので、思いきって、妻のいうようにしてやろうかと