Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きりのばんしゃ

霧の蕃社

中村 地平

Lisez 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) de 中村 地平 (なかむらちへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 389 caractères · 57 écrans

Aozora Bunko

それにテワスが近藤巡査の妻になれば、自分自身も大人の兄になれる。そういう誘惑にも心がひかれる。モーナルーダオは煩悶した。

しかし、間もなくモーナは、

「妹の有頂天な気もちを傷つけるに忍びない」

という自分自身への云いわけで、結局妹の結婚を承諾してしまった。

モーナの気苦労が強かったにも拘らず、結婚はすべて調子よく運んだ。新夫の巡査という地位と、新婦の兄の頭目という勢力によって、二人の結婚に対して不平を洩す者も社内にはいなかった。

テワスは体がしびれる位嬉しかった。もはや、跣足のまま竹の床にごろ寝する必要もなければ、手づかみで芋を食べる習慣もやめていいのである。官舎の畳の上に住み、食卓の前に坐って「白米」を食べるのである。夜のランプは兄の家の炬火に較べると、なんと明るく溢れるように、胸のなかを照すことであろう。

麻の着物も、まっ赤な脚絆もぬぎすて、テワスは内地風の浴衣を着ていた。無器用な手つきで炊事もしたし、お針仕事も覚えようと懸命になっていた。心をこめて内地人になりきろうとしていたし、命をかけて夫近藤を愛していた。それは仕合わせな思いであった。

近藤巡査もまた新しい生活に決して不満ではなかった。