Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きりのばんしゃ

霧の蕃社

中村 地平

Lisez 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) de 中村 地平 (なかむらちへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 389 caractères · 57 écrans

Aozora Bunko

新しい妻はけだもののように逞しく、生き生きした体と、決して内地人に劣らない容貌とをもっている。その上、勢力家の頭目を義兄にもったため、土地の蕃人たちを禦してゆくにも好都合である。

「あなた、大変よ。ホウゴウ社の蕃人たちが内地人の首切るとさわいでいるよ」

近藤巡査が警察分署で執務していると、妻のテワスが顔色を変えてとびこんできたことがあった。近藤巡査はただちに同僚とホウゴウ社に駈けつけてみた。するとそこでは平素から不逞の志をいだいていた壮丁たちが、密かに銃器の手入れや竹槍の用意やをしている。近藤巡査とその同僚たちとは直ちに彼らをひっ捕えた。不穏な計画は事前に防止することができたのである。このようにして、妻の密告によって、近藤巡査が手柄をたてたのも一再にとどまらなかった。

内地や、そこに住まっている老父母やは、近藤巡査には遠い、記憶のかすれた想い出でしかなかった。献身的な妻と、柔媚な山々の眺めと、充ち足りた生活に巡査は没入しきっていた。

しかしこの安らかで、仕合わせな生活も永くはつづかなかった。近藤巡査が東海岸の花蓮港に転勤を命じられたことで、破綻を生じてしまったのである。